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アイヌを描いた文学
まえがき
 近代日本の歴史のなかで、取り返しがつかない行為を犯しながら、未清算のまま現在にまで引きずっている問題として、木下順二は朝鮮の植民地化、沖縄政策、未解放部落への差別を指摘しています。これらの問題を「原罪意識」(「忘れてはならないこと」)として見つめ、個人にとっての未清算の過去にとどめず、日本人全体として、歴史的現在に生きる者の生き方に関わることとして問いかけています。

 ぼくは木下順二がいっている「原罪意識」のなかに、アイヌ政策をふくめることによって、新しい視野からこの問題に接近できるのではないかと考えています。この国の歴史の中で不当に無視されてきたアイヌの過去・原罪・未来を文学の光でとらえかえし、彼らとの連携を深め、“無関心な隣人”から脱却するための機動力になると思うのです。

 アイヌを主題にした文学作品は、古くは幸田露伴の「雪粉々」から最近の池澤夏樹『静かな大地』まで、かなりの数にのぼっています。しかし日本文学史では、この分野に独自の位置づけがなされているとはいえないのが現状です。
 この小冊子は、基礎資料となる作品を年代順に整理し、その内容を紹介するとともに、今日の到達点から見た問題点などを指摘しています。ここに紹介した作品は二十三編ですが、現在までにぼくの手元に集まっている作品は六十四編ですので、機会があれば続編を書くつもりです。
松木 新

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値段 1部 500円



■収録作品
アイヌを描いた文学
松浦武四郎「アイヌ人物誌」
イサベラ・バード「日本奥地紀行」
幸田露伴「雪粉々」
秋田雨雀「アイヌの煙」
長田幹彦「アイヌの少年」
宮本百合子「風に乗って来るコロポックル」
宮本百合子 未定稿「遥かなる彼方」
岩野泡鳴「断橋」
秋田雨雀「国境の夜」
ジョン・バチェラー「我が記憶をたどりて」
長見義三「母胎より塚穴へ」
小熊秀雄「飛ぶ橇」
鶴田知也「コシャマイン記」
山中峯太郎「民族」
今 官一「巨いなる樹々の落葉」
長見義三「アイヌの学校」
山中峯太郎「コタンの娘」
菊田一夫「リラの花忘れじ」
寒川光太郎「吹雪と原始林」
菊田一夫「君の名は」
石森延男「コタンの口笛」
武田泰淳「森と湖のまつり」
新田次郎「最後の叛乱」


■北海道の作家
北海道文学の父 有島武郎
北方の辺土に筆を向ける 久保栄
イレスサポ バチェラー八重子
文学とアイヌ 原田康子
堅忍と勇気にみちた 今野大力
文学とアイヌ 佐々木譲
アイヌを謳った 小熊秀雄
良心を失わずに生きること 三浦綾子
本庄陸男と「石狩川」 本庄陸男
上西晴治と文学 上西晴治
人生という旅 小檜山博
文学世界 長見義三
鳩沢佐美夫の叫び 鳩沢佐美夫
民族の心を伝えた 知里幸恵
時代をみすえる 宍戸律
朔北の作家 小林多喜二
船山馨と風土 船山馨

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